お金の本質とは。自分の資産をどう守る?

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目次

お金とは何か。

お金とは「信用」です。

 

一万円札は福沢諭吉が描かれている縦76mm、横160mmの紙です。

この紙にどんな価値があるでしょうか。

現在では、もちろん一万円分の物やサービスを得ることができます。

一万円の製造に掛かるコストをご存知でしょうか。

なんと約23円です

福沢諭吉が描かれた紙という視点で見れば、それほど価値があるものではないでしょう。

しかし実際には、みんなが欲しがるほどの価値があるわけです。

この差は何かと言えば、みんなが一万円としての価値があると信じている。

それだけの共通の「信用」が一万円札にはあるということです。

 

  

例えば、タイムスリップして江戸時代へと行ったとします。

そこでお腹が減ったのでそばを食べました。

お会計で一万円を出したらどうなるでしょうか。

「なんだいこれは!ちゃんと金を払え!」と言われるはずです。

「これはお金で一万円だからそばは食べられる金額だ」と言ったとしても

「ばか言ってんじゃねぇ!こんな紙っきれ何の役にもたたねぇ」と言われるでしょう。

なぜなら、江戸時代の人にとっては福澤諭吉が描かれた一万円札をそもそも知りませんし、貨幣の単位も円ではありません。

よくわからない物を持ってきて、これには価値があるからと一方的に言われたら、まずもって怪しいですよね。

つまり江戸時代の人々にとっては福沢諭吉の一万円札には「信用」なんて全くないわけです。

(もしかしたら、江戸時代末期だったら福沢諭吉が生きていた時代なので「あそこの福澤さんの肖像画かい?ちょっと老けてるけど、うまく描けてるじゃねぇか。そばのお代はこれでいいや」なんてことはあるかもしれませんが)

 

つまりお金というのは共通の「信用」の元に価値が存在しているのです。

信用ですから言ってみれば実体のないあやふやなものと言えます。

実体のない通貨といえばビットコインなどの仮想通貨が一時期話題になりました。

円という通貨もビットコインという仮想通貨も、ぶっちゃけどちらも実体のないものなんですよね。

(金本位制と言って、お金と金が交換可能でお金の価値を金によって担保することで信用を生み出す制度がありました。しかし今は金との交換は出来ない不換紙幣をどこの国でも採用しています。つまり信用が全てのお金ということです)

ただ日本円は日本という国がお墨付きをつけた通貨なので「信用」度合いが高く、今のところ誰も怪しいと疑うことなく日本経済及び世界経済で流通しているのです。

 

しかしこの先も円の信用が揺らぐことなくあり続けられるのかと言えば、それはわかりません。

世界の金融市場で不安心理が広がると、安全資産としての円が買われるのが現状で、目先では円の信用力が揺らぐことはないかもしれません。

ですが、国の借金は毎年増え続けていますし、絶対はないと思うので、どこかでみんなが「日本大丈夫か?」となるようなことがあれば、円の価値が暴落する可能性はあるわけです。

 

円の信用はこの先も維持されるのか

日本円の暴落は起きないと言われていたりしますが本当に大丈夫なのでしょうか。

日本政府は毎年赤字国債を発行しています。つまり政府は税収だけではまかないきれず借金をして、国の運営を行っています。

毎年毎年国債を発行し続けています。

現在のその合計額は1100兆円にもなっています。

この借金返す気はあるのでしょうか。

毎年、満期となる国債の返済の為に国債を発行している状態です。

つまり借金を返す為にまた新たに借金をしているのです。

今後社会保障が膨らんでいきますし、国民の人数は減っていきます。

本気で返す気があるのであれば、税金を上げることか、国が提供するサービスを削減すること、もしくはその両方を行うことになります。

それは日本国民にとってそうやすやすと受け入れることができないものです。

なのでこのまま政府の借金は増えていきそうです。

 

プライマリーバランスの黒字化

プライマリーバランス(基礎的財政収支)とは国に入ってくるお金(歳入)と出て行くお金(歳出)の収支関係のことです。

歳出額が歳入額より多いということは赤字ということになるのでプライマリーバランスは毎年赤字で推移しています。

この赤字分を補填する為に国債を発行して借金により国を運営しています。

しかし、このままだと借金は膨れ続けてしまいます。

この流れに歯止めをかけようと政府は2020年にこのプライマリーバランスを黒字化させることを目標に掲げました。

国債に頼らず財政をまかなうことを達成させるとしたのです。

しかし、この目標は5年先延ばしされ2025年に時期の見直しがされました。はたして2025年に達成できるのでしょうか・・・。

 

日本の2018年度の歳出と歳入

基礎的財政収支対象経費 74.4兆円 (国債の支払い分は含みません)

国の歳入 64兆円 (国債発行分は含みません)

プライマリーバランス赤字額 10.4兆円

 

引用:nippon.com ウェブページ

 

日本銀行の量的緩和政策

現在国債を大量に買っているのは日本銀行です。

日本銀行は円を発行することができる唯一の機関です。

じゃんじゃんお金を作って国債を民間金融機関から買っています。(直接政府から日銀が国債を購入することは禁止されています)

政府は満期が来た国債の返済の為に、再び国債を発行していますので、実質国債は返済されていません。

 

日銀が国債を買ってお金を大量に流すことを量的緩和政策といいます。

日銀は量的緩和でお金の供給量を増やすことに一生懸命です。

なぜこのようなことが行われるのかというと、インフレにしたいからです。

インフレとはモノの価格が上がる物価上昇のことであり、それはつまりお金の価値が下がることと同じことになります。

 

お金の価値が下がるとは

お金の価値が下がるというのが少しややこしいかもしれませんね。

例えば以前までチョコレートが¥100で買えていたのに、同じチョコレートが¥110出さないと 買えなくなってしまったとしたら、それはチョコレートの価格が上がったということになります。

 

チョコレートの値段 ¥100 → ¥110 【10%価格上昇】

 

逆に、視点をチョコレートの価値の方にしてみます。

チョコレート自体は全く変わってないですから以前も現在もチョコレートの価値は同じです。

チョコレートの価値は同じで値段が変わったということですからお金の価値が変化したということになります。 

 

チョコレートの価値 = (以前の)¥100 = (現在の)¥110

 

つまり以前の¥100と現在の¥110は同じ価値ということになります。

もう少し噛み砕くと、価値としては 

 

以前の¥100 > 現在の¥100

 

現在¥100ではチョコレートが買えなくなってしまったということですので、¥100の価値が減少してしまったということです。

以前の¥100と現在の¥110が同等の価値になってしまったので、お金の価値が10%減少したということになります。

 

インフレがもたらすメリット

日銀は大量の資金を供給し円の価値を下げさせる、つまり物価の上昇(インフレ)を促そうとしています。

インフレにすることで景気をよくしようとしています。

インフレになるとモノの値段が上がっていきますので、今買うのが一番安いことになります。

1年後に物価が2%上昇すると分かっていたら欲しいものは今買うのが一番安いので、ものを買う動機が増えます。

なので消費が増えて景気がよくなっていくと考えられています。

逆に物価が下がるデフレの状況ではモノの値段が下がっていきますので、欲しいものがあっても、今買うより後で買った方が値段が下がっていくので、その方がお得となってしまいます。そうなると消費行動が後回しにされてものが売れなくなり景気が下降していくことになります。

 

インフレにする利点として景気をよくすることの他に、借金を減らせる効果があります。

インフレとはお金の価値が減ることです。

でも借金の額自体は変わりません。

そうなると借金の額は減らなくても、お金の価値が減少することで返済する負担が減ることになります。

 

理屈としてはこうです

3000万円の家を購入しました。

3000万円の借金を抱えているとします。

月給30万円もらっているとし、毎月この給料の中から返済していくことになります。

【借金】 3000万円

【月給】 30万円

 

物価が2倍上昇となった場合

モノの価格が2倍となります。

そうなると給料も増えます。単純に2倍に増えることとします。

物価が上昇しても借金の額は変わりません。

【借金】 3000万円

【月給】 60万円

 

物価が上昇しても借金の額は変わっていませんが、月給が増えることになるので、返済する負担が減り、上の例では負担が半分になるのです。

物価が上昇するということはお金の価値が減ることになりますので、物価が上昇する前に作った借金はお金の価値が減った分目減りすることになるのです。

 

政府は1100兆円の借金を抱えていますから、この借金を返済していくとなるとインフレにして借金を目減りさせて返済していくしかないのではないでしょうか。

 

自分の資産を守る為に

物価が上昇すると借金は目減りすることになりますが、お金を持っているとそのお金は物価上昇分が目減りすることになります。

貯金しているお金は金額自体は減りませんが、物価上昇によってお金の価値が減りますので貯金は不利になってきます。(貯金による利息が物価上昇分より高ければいいのですが、現時点ではほとんど利息はつきません)

 

なので貯金しておけばお金が減ることはないから安全だと言って、お金を投資に回すようなリスクは絶対取りたくないという人がいますが、物価が上昇すれば貯金もリスクがあるということになります。

 

貯金しておけば確かに貯金額は減りませんが、価値は変化してしまうのです。

 

国は様々な政策を打ってインフレになるように誘導していますし、膨大な借金も抱えていますから、円の信用が今後下がる可能性の方が高いと思います。

 

となると、ただ単に貯金などでお金を持っているだけだと不利になる可能性が高いのです。

 

明治時代の1円の価値を今の価値に 換算すると5万円ほどになるそうです。明治時代では1円あれば旅行をしたり、贅沢な食事ができたということです。

もし明治時代に1円を箪笥貯金して現在に至ったとしても1円は1円でしかありません。実際には歴史的価値があるので1円より高額で買い取る人がいますが、日本円として現在使おうとすれば1円として使えるに過ぎません。

これはつまりお金自体の価値が減少してしまったということです。

 

お金の価値が目減りするとなると、お金を他の資産に変えておくことでそのリスクを減らすことができます

例えば株式に変えておけば、物価の上昇分株式も上昇しますので、資産としての価値を減らさずに済みます。(株式は会社の業績によって価格が変動しますがここでは考慮していません)

不動産も同じで、物価上昇すれば不動産価格も上昇します。

持っている円を他国の通貨に変えておくというのも手になります。

 

お金の本質は信用ですから、その信用度は変化するということです。

金額の数字の部分だけを見ていると損をしてしまいかねないということになります。

 

貯金は安心安全ではない、ということを理解した上で貯金するなり、他の資産を保有するなり自分自身の資産形成をしていくことが大切ではないでしょうか。

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